山のおじいに学ぶ「夏の柴刈り」~鎌で草を刈り、束にして畑に入れる知恵と技~

シリーズ第一回目の今回は、柴刈り。昔話の「お爺さんは山へ柴刈りに…」というあれです。
山の草を鎌刈り、背負子にくくりつけて運び、畑に還すという一連の流れを実践して学びます。
夏に伸びる雑草を刈り、有機物(肥やし)として畑に還元する。
昔は当たり前に行われていた里山の知恵、まさに循環型農業そのものです。

化成肥料が普及した現在では、ほとんど見られなくなった仕事ですが、ここでは今も柴刈り・柴入れが行われています。この一連の作業を通して学ぶのは意味深くなかなかない機会です。
7月18日、この日は東京、山梨県内から9人の参加者が集まりました。

今回のおじい(講師)は、この方。
西原で生まれ育ち、今もただ一人雑穀を作り続ける、中川智さん(御年79)です。
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まずは師匠のお宅にお邪魔し、柴刈りとはそもそも何のためにやるのか?お話しを聞きました。
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柴刈りは夏の仕事
柴刈り・柴入れには時期があります。ちょうど、夏の今頃が柴刈りの時期。
時期が早すぎると草の量が充分に取れず、遅すぎると草の種がついてしまい、畑に雑草の種をまくことになりかねない。この地域ではおおよそ8月中頃までが柴刈りの適期だそう。
柴を入れるのは、インゲンや里芋、トウモロコシ、こんにゃくなど。これらは畝幅を広く作るので草を敷きやすい。
これらの作物を、毎年植える場所をずらしていけば、数年かけて畑の全面に柴を入れることができるわけです。

畑に入れるだけでなく、智さんの子供時代は馬を飼っていたので、初夏から秋にかけて毎朝草を刈りに行き飼葉にしたそう。朝露でびっしょりになりながら、山から重い草を背負い下すのが子供の仕事でした。

なぜ柴入れをするのか
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今のように化成肥料が普及していなかった時代、作物を作るには有機肥料がとても重要でした。
山の草でさえ畑を肥やす立派な資源で、各家の草刈り場も決まっていて競うように草を刈ったそうです。
畑に敷いた草は秋までには枯れ、冬の間作物を作らないところは鍬で天地返しを行い、残渣とともに土中に埋めます。これは「冬ぶせ」と呼ばれています。
作物の間に敷き詰めれば表土の乾燥を防ぎ、また光が遮られるため雑草が生えるのを抑える効果もあります。
後から伸びてきた雑草も、取ったら敷き草の上におけば一緒に枯れて、土に根付いてしまう心配もありません。

ちなみに、柴刈りの際は細い木の枝なども一緒に刈り敷き込みますが、冬ぶせの際に木の枝は取り出し、枝は囲炉裏などの焚き付けに使ったそうです。なんとも細やかで無駄のない暮らしぶりですね。

いざ、山へ柴刈りに
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今回柴刈りをしたのは、こんな場所。今は草だらけですが、かつては畑だった(今も上のほうにコンニャク畑あり)。しっかり踏ん張っていないと転げ落ちてしまいそうなほどの急斜面!
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さて、まずは鎌の使い方から。鎌の刃の角度や、草を刈る向きにも、やり方があります。
下の写真の矢印のイメージで、上から刈りはじめ、次第にぐるりと下のほうへ回って刈り進め自分のほうへ戻ってくる。
自分の足元から始めて、体の位置はほとんど変えずにまあるく刈っていくイメージです。
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こうすると、根元の向きがそろった状態で、手元に刈った草が集まります。
シンプルながらも、理にかなったやり方に、「なるほど~」「動きに無駄がない」の声。
ここできちんと根元がそろっていると、後で背負子に括り付けやすい。

さっそく鎌をもって実践。
刃が石に当たらないよう、斜め上に向けるイメージで、でもなるべく地際を刈る。
そして急斜面。おまけに、立ってるだけで汗だくになるほどの猛暑日!
みんな夢中で草刈り。
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必ず根元側を斜面上側に向けておくようにします。数束刈れたら、背負子につけます。

丈が長く丈夫なカヤ(ススキ)があればくくって束にすることもでき、
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こうすると背負子につけるときに楽。束ね方に一工夫あり!いろんな技が飛び出します。

背負子に草を括り付ける
一通り刈ってみたところで、今度は刈った草を背負子に付ける作業です。
背負子は背中側を地面につけ、背負ったとき上になる方を斜面の下側に置きます。
向きを間違えると背負うときに大変です(というか背負えない)。
上に草の束を積んでいき、背負子についている縄でギュギュっと締めるようにし
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手で引く力を緩めないようにし、足で体重をかけながら締める。力とコツのいる作業です。
縄の締め方にもいくつかやり方があって、覚えるのに一苦労…
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草をつけたら背負子を立ち上げます。場合によっては草をもう一段、上に括り付けます。
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最後に、自分の鎌は背負子の草にさしておく。なんだかカッコいい!これで道具が迷子になりませんし、背負って歩くときに両手が空きます。

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できたー!
いよいよ背負います。これが、ハンパじゃない量の草だったりするので…
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「え、なにこれ~立ち上がれない?!いえ、でもやります!」
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想像を絶する重さ!!でも立ち上がった!!
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この笑顔!急斜面を運びきりました。お見事です!
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みんな続々と運び出す。たくましい~!後ろから見ると、草の塊が動いているようにしか見えない…
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トラック2台がすぐにいっぱいに。畑へ運びます。昔はもちろん、背負子で畑まで行ったわけですが、今回は山から降ろすところまでにして、ここはトラックに頼りましょう。

サトイモ畑に柴入れ
今回、草を入れるのはサトイモ畑の畝間。
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写真ではわかりにくいですが、この畑も緩やかな傾斜地。
傾斜の向きを見て、背負子を置く向きを考えます。逆向きにすると草が降ろしにくい。
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こんなにフカフカにするの?かなり厚く敷きます。陽に当たり草が枯れるとぐっとカサが減ってしまうのです。草が多くあれば、サトイモの株もとまで覆うように広げていいそう。厚いほうが防草・保湿効果も高い。

午前中はここまで。中川さん、太郎さんの夏野菜をたっぷりつかったお昼ご飯をいただきました~
美味しかった!
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午後は鎌砥ぎでスタート
柴刈りでは細い木の枝などもガンガン刈ってしまうので、鎌はこまめに研ぐ必要があります。
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体の使い方・体勢、砥石の角度、一定に保つこと、、、なかなか難しい
小1のしーちゃんも真剣に見つめる。

午後の草刈り、ひたすら実践
一通りのやり方を教わった後は、回数を重ねるのみ!ということで、午後はひたすら、実践。
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緩まない締め方をおさらい。
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立ち上がれるかな…??
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ひとやすみ。あっつい日に梅干しは美味しかったです。

午後は背負子6つを2回運び入れ、草を全面に敷き詰めることができました。
美味しいサトイモになるといいな~~
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一日のふりかえり
おやつ。お料理担当みょんさん手作りの蒸しパン!
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美味しいものをいただきながら、一日の感想をシェアしました。
智おじいの一言一言、作業の一つ一つに学びが詰まっていたこと。
こうした昔の知恵が消えて行ってしまうことの危機感。
一日の体験で終わらせず、続けて、重ねていくことで身につく。
思いっきり働く楽しさ。大変さ。昔の人のすごさ。…などなど。
体も心も充実感いっぱいの一日でした。
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次回は8月開催の予定、、、!
楽しみですね~
みなさんありがとうございました!

(文責:ぱん)